なぜ国は、自立支援(介護)をおしすすめるのか vol.1

国際医療福祉大学大学院 小平めぐみ
自立支援(介護)を考える前に、まずは介護保険法の目的を振り返ってみましょう。
総則の目的には、「(略)・・・加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が
尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため・・(略)」とあります。
また、国民の努力及び義務には、「(略)・・・要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、
その有する能力の維持向上に努めるものとする。」
これらは、介護保険法が施行されてから変わっていません。
それにも関わらず、なぜ今「自立支援」なのでしょうか。
2000年当初から自立した日常生活が営むことができるように、各サービスが保健医療あるいはケアの向上を図っていれば、さらに国民が各自の能力の維持向上に積極的に努めていれば、この問いは違ったものになっていたかもしれません。
介護保険の目的に「自立」を掲げながらも、各サービスはもとより、家族も要介護状態の本人を含め、介護が必要となった人々の自立性を回復させる(する)といった思想、またはその手法は無いに等しい状況であったといえます。
 
そのような背景から、高齢者の人口増加とともに要介護状態の高齢者が増加し、介護保険費用の第1期3.6兆円から現在は4倍12.8兆円と膨れ上がり、介護保険財政を逼迫させています。
そういった中で、2007年「自立及び自立支援の問題が教育・実践・研究として真摯に取り組まれてきたのか」という課題から、実践者・教育者・研究者が一体となって、『自立支援介護』という課題を通して、それぞれの要域を超える横断的研究の場を目指す」(※2)とし、
日本自立支援介護学会(現在:日本自立支援介護・パワーリハ学会)が設立されました。
基調講演で学会長竹内は「我々の最大の責任は、すべての高齢者の願いを実現することに最大の努力を惜しまないことだ」(※2)とし、『自立支援介護』における研究が実践現場から様々報告されるようになりました。
当大学院においても教育・研究の一端を担ってきました。

さらに、国は新時代の社会保障改革ビジョン(※1)の介護提供体制の高度化の項目に、「(略)・・介護の持続可能性を確保するには、まず、上記のとおり介護・認知症予防を徹底的に進める必要がある。また、介護保険制度においても、自立支援という法目的に立ち返り、利用者の要介護度や自立度を改善した介護サービス事業所に対するインセンティブを強化すべきである。」と表明しました。

介護保険制度が20年を経て、
�〆0貪挧〔榲�に立ち返ること
�⊆�立度の改善を強化する
ということで財政逼迫を解消しようとしていると捉えることができます。
このような中、国が思い描く介護保険制度の目的と『自立支援介護の実践』の成果が、2016年の未来投資会議で一致しました。
 
 

自立支援介護の主な目標は、要介護高齢者の自立度の改善(トイレでの排泄、食事の自立、歩行の自立、認知症状の改善等)です。
これらによって本人のQOLの向上、介護負担の軽減、介護職のやりがい(介護の専門性)につながる成果を得ました。

まさしく、2016年の未来投資会議で元内閣総理大臣は「(略)・・・これまでの介護は、目の前の高齢者ができないことをお世話することが中心でありまして、その結果、現場の労働環境も大変厳しいものでもありました。
これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置きます。本人が望む限り、介護は要らない状態までの回復をできる限り目指していきます。(略)
・・・介護に携わる方々の負担を軽減するとともに、介護現場にいる皆さんが自分たちの努力、あるいは能力を生かしていくことによって、要介護度が下がっていく達成感をともに味わうことができるということは、専門職としての働きがいにつながっていくことではないかと思います。」(※3)との発言の通りです。
なぜ国は、自立支援(介護)をおしすすめるのか。その問は、
�_雜酳欷韻量榲�であること
�¬榲�を達するための手法が介護の領域では『自立支援介護』が最も成果を出している
ということです。
次回は、その「自立支援介護とは」について実践をふまえてご紹介していきます。

引用・参考文献
※1)新時代の社会保障改革ビジョン 平成31年4月18日自由民主党政務調査会 厚生労働部会 P8
※2)自立支援介護学(2007)VOL.1NO.1:2-3
※3)首相官邸 第2回 平成28年11月10日 未来投資会議 未来投資の推進について、医療・介護の未来投資と課題 議事録要旨
 Vol.2 自立支援介護とは ▶ 

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